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柿と生ハムのカプレーゼ仕立て ― 秋を彩る甘美なハーモニー ―

秋の訪れを感じる頃、食卓には季節の恵みが並び始めます。中でもひときわ存在感を放つのが、橙色に輝く「柿」です。古来より日本では「柿が赤くなると医者が青くなる」と言われるほど栄養価が高く、秋を代表する果実として親しまれてきました。その中でも特に糖度が高く、食感が際立つ「大秋柿(だいしゅうがき)」は、柿の概念を変えるほどの美味しさを誇ります。今回ご紹介するのは、その福岡県産の大秋柿を贅沢に使用した一皿、「柿と生ハムのカプレーゼ仕立て」。

甘みと塩気、まろやかさが織りなす味わいの調和は、まさに“秋のカプレーゼ”と呼ぶにふさわしい逸品です。

 

 

◆ 福岡県産「大秋柿」の魅力

福岡県は果物の名産地としても知られていますが、その中でも「大秋柿」は近年注目を集めている品種です。もともと「太秋(たいしゅう)」という品種を母体に、福岡県の生産者が丹精込めて育てたこの柿は、見た目の美しさと食味のバランスが抜群。

手のひらにずっしりと感じるほどの重量感があり、皮を剥くと内側から溢れ出すように鮮やかな橙色の果肉が現れます。その断面は緻密で、まるでメロンのようなサクサクとした食感。一般的な柿のように柔らかくなる前の段階で収穫されるため、シャキッとした歯ざわりとジューシーな果汁が同時に楽しめます。

 

また、大秋柿は糖度が非常に高く、平均で17〜20度に達することも珍しくありません。これは完熟した桃やマンゴーに匹敵する甘さでありながら、爽やかな後味が残るのが特徴です。そのため、甘みだけでなく“食感と香り”のバランスを活かす料理にも最適なのです。

 

 

◆ 生ハムとの出会い ― 塩気が引き立てる果実の甘み

この大秋柿の魅力を最大限に引き出すのが、生ハムとの組み合わせです。

「柿と生ハム」という組み合わせは、イタリアンの世界でも古くから親しまれてきた伝統的なペアリングの一つ。特にイタリア北部・パルマ地方の生ハムやスペイン産ハモン・セラーノのような熟成生ハムは、塩気と旨味のバランスが非常に繊細で、果実との相性が抜群です。

 

福岡県産の大秋柿と組み合わせることで、その相乗効果はさらに高まります。

生ハムの持つしっとりとした脂のコクが、柿の清涼感ある甘さを引き立て、柿のサクサクとした歯ざわりが生ハムの繊維感と見事に調和。ひと口ごとに、塩味・甘味・旨味が交互に押し寄せ、舌の上で幾重にも重なる味の層が広がります。

 

生ハムの塩分は柿の果汁を引き立てるだけでなく、ほんのりとした苦味や芳醇な香りを感じさせ、まるで熟成チーズを思わせる深みを与えます。まさに“塩気が甘みを際立たせる”という味覚の科学を体現した組み合わせなのです。

 

 

◆ 水牛のモッツァレラ ― コクとまろやかさの名脇役

そして、この料理を完成へと導くのが「水牛のモッツァレラチーズ」。

一般的な牛乳製のモッツァレラよりも濃厚で、ミルク本来の甘みと旨みが凝縮されたこのチーズは、まるで生クリームのようななめらかさを持ちます。手でちぎると中からじゅわっとミルキーな液体が溢れ出し、その瞬間に漂う芳醇な香りは、まさに“新鮮そのもの”。

 

このモッツァレラが、大秋柿と生ハムをやさしく包み込みます。

柿の甘さと生ハムの塩気が口の中でぶつかり合う瞬間、モッツァレラのまろやかな乳味が全体をまとめ上げ、味わいに丸みと奥行きを与えます。まるでそれぞれが主張し合いながらも、最終的にはひとつの調和へと導かれていく――そんな“三重奏”のようなバランスが、この料理の最大の魅力です。

 

 

◆ カプレーゼ仕立てという発想

本来「カプレーゼ」とは、イタリア・カプリ島発祥のトマトとモッツァレラ、バジルを使ったシンプルなサラダです。

しかしこの「柿と生ハムのカプレーゼ仕立て」は、そんな伝統的なカプレーゼの構成を秋らしくアレンジした一皿。

トマトの代わりに福岡県産の大秋柿を使用し、酸味ではなく“甘み”を主体に構成。そこに生ハムの塩味とモッツァレラのコクを重ねることで、秋の果実を主役に据えた新感覚の前菜が生まれました。

 

仕上げには、エクストラバージンオリーブオイルをひと筋。

そしてほんの少しの黒胡椒やバルサミコ酢を添えることで、全体の味がぐっと引き締まります。

お皿の上では、橙と白と淡いピンクが美しく重なり、まるで秋の夕焼けを閉じ込めたような色彩。見た目にも華やかで、ワインとの相性も抜群の一皿です。

 

 

◆ ワインとのペアリング

「柿と生ハムのカプレーゼ仕立て」には、白ワインがよく合います。

特におすすめなのは、アルザスのリースリングやイタリア・フリウリ地方のピノ・グリージョ。

これらのワインは、果実味がありながらも酸味がきれいで、柿の甘みと生ハムの塩気のバランスを引き立ててくれます。

また、やや辛口のスパークリングワインと合わせると、口の中が軽やかにリセットされ、次の一口がまた新鮮に感じられます。

 

ノンアルコール派の方には、軽く炭酸を効かせた柑橘系のジュースや、ハーブを使ったトニックウォーターがおすすめ。柿の甘みがより際立ち、後味が爽やかになります。

 

 

◆ 季節を感じる贅沢な一皿

「柿と生ハムのカプレーゼ仕立て」は、シンプルでありながらも食材の質が問われる料理です。

福岡県産の大秋柿のように、完熟手前の絶妙な状態で収穫された柿を使うことで、甘みと食感の両立が可能になります。そこに上質な生ハムと新鮮な水牛のモッツァレラを合わせる――それはまるで、秋という季節の豊かさをそのまま皿に閉じ込めたような贅沢。

 

ひと口食べるごとに、柿の果汁がじゅわっと広がり、モッツァレラの優しいコクが重なり、最後に生ハムの旨味が余韻を残す。シンプルなのに奥深く、軽やかなのに満足感がある。そんな不思議な魅力が、この料理には詰まっています。

 

秋の夜長に、グラスを傾けながら味わうのにふさわしい前菜。

そして、季節の移ろいを感じる一瞬の贅沢。

「柿と生ハムのカプレーゼ仕立て」は、まさに“秋の恵みと技の融合”と呼ぶにふさわしい一皿です。

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